あなたの事例と私の事例は違う。新規就農に成功事例を求めないこと。

こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、田中畜産の田中一馬です。

僕が牛飼いを始めて16年。
あっという間というか、まだそんなもんかっていう気持ち。
正直何もピンと来ない。

非農家からの新規就農と言うこともあって、我が家は就農に関する視察が多い。
別に僕が成功しているからとかではない。
ただ人よりも発信しているから。
そこらへんは自覚している。

この1ヶ月で3件の視察とメッセンジャーでの相談が3件。
先日も牛舎の視察に島根県からIさんが来られました。
でもゴメンなさい。
上手くいくノウハウなんて僕は持っていません。

お肉屋さんを経営されているIさん

ただ、牛舎建設の話は僕の得意分野。
自分で設計した経験やそれを使って改めて分かったこと、そして削蹄で様々な牛舎を周るからこそ伝えられる事がある。
だから思いつくままに話をさせてもらった。

図面考えるの楽しかったな。。。

でもね、実はこの時反省した。
相手の状況を分かっていないと伝えることはズレてしまう。
牛舎の話を聞きにきたIさんに伝えるべきことは牛舎の話じゃなかった。

相手が今必要なことを知った上で、今の自分が伝えられることを探さないといけない。
みんな人生かけて来てんだから。
もっと相手を見なきゃな。

自分の経験は伝えやすい。
でもそんなものが通用しないことは僕が一番知っている。

あなたの事例と私の事例は違う

大学生だったとき僕は肉牛研究会というサークルに入っていました。
学生だけで牛を飼うクラブで、人工授精から肥育まで一貫して飼育をする。
更には屠畜したお肉は生協で生肉販売や調理して校内販売もしていた。
餌も種をまいて作るし、飼料設計も会計も学生だけ。
3週間に1週間は部室に寝泊りして牛の世話があったりと、牛好きが集まったサークルだった。
ここには僕よりも熱意も能力も高い先輩がたくさんいました。

でも、その先輩方の中で新規に畜産経営を始めた人が皆無だった。
むしろ夢をあきらめる方を多く見てきた。

OB名簿を見て新規就農された方を何年もさかのぼり、ようやく出会った方は40半ば。
「俺の若いときはアメリカでカウボーイと一緒に牛を追って。。。」という話を聞きながら時代が違うと強く感じた。

その方の事例はその方の事例。
僕の事例は僕が作るしかないんだよね。

広島から原付で11時間かけてきたS君。若さハンパない。。。

時代も違えば状況も違う。
何より人が違う。
自分が当時成功した方法も様々なタイミングがかみ合って出来たこと。
どれだけ過去にうまくいったことがあっても再現性なんてないんです。
それを勘違いして自分の軌跡に酔うような人間にはなりたくない。

今日北海道から来た子は19歳の女の子。
39歳の僕にとっては子供でも不思議じゃない年齢差です。
ちょうど大学生のときの僕と就農されたOBの方と同じくらい。
そんなことも思い出して「僕の就農時は~」なんて話は時代錯誤もはなはだしいなって思った。
時代が違う。
そして時代の変化のスピードもまったく違う。
僕だって今必死だもの。

歳の差20って。。。

就農への準備なんて完璧には出来ません。
別に何年も準備期間を設けることに意味がないとはいわない。
経験に無駄なんて絶対ないから。
ただ、その何年もの準備期間の間にも時代は変化し続けている。

だから未熟な状態で悶々と悩むなら、行動しながら準備し、変化し続けるしかないと僕は思う。
行動してステージを上げる。
そのステージでしか見えないものはある。

今日来たTさんには「あせらずゆっくりいろいろなものを見たほうがいいよ」って最初話をした。
でも話していくうちに間逆の話に。。。
そこまで決めてるならやればいいと思った。

結果に責任なんて取れない。
責任は自分で取るものだ。
それでも関わるからには応援し続けたいと思うんだよな。

僕もがんばります。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。