細霧装置で子牛の呼吸器系疾患を予防する。

「子牛の風邪がすっきり治らないんです。。」

何年か前の我が家は、まさにそんな感じだった。
当時は初乳の免疫が切れる1ヶ月齢頃に、必ずと言っていいほど熱が出たり耳を下げる子牛が出ていた。

「あそこの牛はダメだ。」

市場でもそういう噂が出ていたのは知っていたし、一度ついたイメージは何年も消えないということも痛感した。

しかし、今はそんな牛が全く出なくなった。
熱を出す子はゼロではないが、治療の翌日まで下がらない子なんて1頭もいない。
事故も減り、流産死産を含む子牛の死亡事故は15ヶ月間ゼロを更新をしている。

事故ゼロの基本は<強い子牛を産んでもらうこと>に尽きると思ってる。
(過去ブログ『子牛の死亡事故をゼロにするために』)

ただ、それ以外でも効果を実感するものがいくつかあった。
その代表格がミストだ。

ミストで防疫

ミストといえば思い浮かべるのは気化熱による暑熱対策じゃないだろうか。

昨年春に導入した細霧装置は夏場には大活躍。
作業していても涼しさを実感することができた。
一年で最も受胎率が悪くなる夏場の種付けも、14頭中13頭が妊娠鑑定プラスという結果になった。

ミスト=暑熱対策

これは間違いない。
しかし、ミストが本領を発揮するのは夏場以上に冬だと思っている。

この冬大活躍の細霧装置。ミストは暑熱対策のイメージが強いからか設置は酪農や肥育がメイン。でも繁殖農家こそ導入すべき装置だと思う。ミストの本領は夏より冬。1時間に1分、24時間体制での消毒効果は凄い。マイコなんて出なくなった。 50頭牛舎で100万円。1頭2万円っす。普及して欲しいな。

僕は今まではプルスフォグ(煙霧消毒機)で牛舎の消毒をしていた。

プルスフォグは一般的なミストに比べ粒子が細かく空間を消毒するには最も優れていると言われている。
実際に700㎡くらいの牛舎なら、30分で数メートル先も見えないくらい牛舎全体が霧で覆われる。

ただ、欠点もあった。
①うるさい
・マフラーを切ったバイクのような轟音がするため牛がバタバタする。(慣れてはきます。。)
・夜間は近所迷惑で使えない。
②薬品費が高い
・粒子を細かく煙状にコーティングする薬剤が高く、1回の消毒に500円近くかかる。(毎日何度も消毒をすることは現実的ではない。)
③慣れた人でないと取り扱いが難しい
・微妙な癖があるので僕しか使える人がいなかった。
④細かい間隔では使いにくい。
・1日30分動かしても、残りの23時間30分はウイルスに対してフリーな環境となってしまう。

一方、ミストの場合は
①朝昼夜関係なくタイマーで決まった時間に消毒ができる。

②音も静かで牛もバタバタしない。

③消毒の間隔を短くできるため、ウイルスが蔓延する隙を与えない。

こんな感じで使いやすい。
今は毎日1時間ごとに1分間の消毒をしています。(1日24回)
これをすることで明らかに咳をする牛や風邪をひく牛が減りました。

まだあまり普及していませんが、費用対効果は非常に高いと思っている。
50頭牛舎で100万円。1頭2万円。
単年度で十分元が取れる。
(ミスト導入した時のブログはこちら「細霧装置で暑熱対策~牛たちを暑さから守るために~」)

今年に入って既に中国で口蹄疫が発生しています。
防疫の観点からは見てもミストはかなり効果の高い機材。
暑熱対策以上に消毒面でこそ真価を発揮すると思う。

畜産はたくさんの補助金がありますが、申請して1年後なんて時間の方が勿体無いくらい効果を感じてるミスト。
子牛価格の高い今だからこそ、多くの農家で普及してほしいな。
そんなことを思っています。


The following two tabs change content below.
田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。