牛の事故について思うこと

牛の死亡事故ゼロを2年近く継続し、これでいけると思った矢先に事故が続いた。
「勘違いしてんじゃねえぞ!」と言われた気がする。

1頭目は早死産。
2回目が腎臓の奇形。
そして昨日、放牧場で滑落事故があった。

訳わかんねえ。。。
なんてことは言わない。
365日、いつだって何が起こるかわからないし、起こったことを受け入れる覚悟は当たり前にある。

「事故をゼロにしたい。」

これは多分牛を飼う以上一生思い続けるだろうな。

二度と同じことは起こさない。
多くの牛飼いがそう思いながらも、毎年のように事故は起きる。
事故をゼロにするのは至難の技だ。

同じ牛はいないように同じ症例も存在しない。
それでも考えられることを実行して進むしかない。
先天的な奇形であってもそれは同じ。
どんな症例でも、できることはあると思っている。

先天的な奇形を「残念だった。。」で終わらせはいけない。

「生きてるのが信じられない値です。」

今まで元気だった子牛が固形物を食べ始める生後1ヶ月頃に急変。
点滴をしても腎臓の数値は下がらない。
近年但馬牛の特定の血統で先天的な腎臓疾患が増えた。
こうなると人ができる事は何も無い。

奇形というのは子牛市場に出ることが殆どない。
それまでに死んでしまうからだ。
そのため問題視されにくい傾向がある。

「確率の問題で、今回はたまたま運が悪かった。」
「残念だったね。。。」

アカバネなどのウイルス性のものを除いて、こんなふうに終わらせてしまっているケースは非常に多い。
でも、奇形こそ共有すべきだと僕は思う。

例えば生後1ヶ月で腎臓障害が出るケースがあるということを知っている獣医師と知らない獣医師がいる。
それはスキルという問題ではなく、JA、共済、開業など、すべての獣医師が同じ組織に属しているわけではなく、情報を共有できていないから。

「但馬牛は特定の血統で生後1ヶ月齢で腎臓疾患が出ている可能性が考えられる。」

こんな【仮説】を立て、家畜保健所が獣医師に通達することで、今まで「残念だったね」で漏れていた事例が上がってくるようになる。
事例が集まることで状況を正確に把握でき、その状況から新たな仮説が立てられ、対策を考えることができると思っている。

こんなことを何年も保健所や県庁や試験場に言ってはいる。
ただ、正直遅い。
遺伝病が見つかってからではなく、遺伝病になる前に不良因子を残さない対策が必要だ。
特に但馬牛は兵庫県内でしか改良ができない。
大きく騒ぐ必要はないが、情報共有は必須。
但馬牛が手遅れになる前に。

そんなことを毎日のように考えてる。

牛の事故について思うこと

考えても考えても事故と無縁な牛飼いなんてできない。
それでも考える。
そういうもんだと思う。

そんな牛の事故について思うことをnoteで喋ってみました。

noteのボイス機能は上限5分。
推敲したくなかったので一発録り。
グダグダだけどね。
事故に対するリアルな気持ちが伝わればなと思って喋りました。
よかったら聞いてみてね。

さあ、また事故ゼロ目指して頑張ります。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。