牛がお肉になるまでのお話②

牛がお肉になるまで〜①」では人工授精を行うことで子牛は生まれているといった事を書きました。
今回は人工授精についてです。
人工授精は「家畜人工授精師」さんという授精のプロが行います。
ではでは早速授精師さんの車をのぞいてみましょう。

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奥にある2本のタンクに精子が入っています。
手前にはなにやら細長い器具と水筒が。。。

授精前にお茶飲んで一息入れるのでしょうか?
いやいや、実はこのタンクにある精液はこんなふうにストローに入っていて、液体窒素で凍結させてあります。

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この精液を溶かす時に使う「お湯」が魔法瓶の水筒には入っているんですね~。

人工授精の他には受精卵移植を用いて子牛を生産することもあります。
血統の良い母牛の遺伝子を残すため、人工授精をした1週間後に受精卵を回収して他の牛に代理出産してもらうのです。
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回収した受精卵は未授精のものから状態の良いものまでランクごとに分けられます。
毎回緊張する瞬間で、顕微鏡から綺麗な受精卵を見つけると「これが牛になるんだ。。」と胸にくるものがあります。
人工授精や受精卵移植は自然交配に対して「不自然」と位置づけられることがありますが、不自然な命なんてないですよね。

この人工授精、まず発情した牛を見つけることから始まります。
発情期の牛を見つけると、牛をロープで保定。
そしていよいよ授精師さんの出番です!

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膣に膣鏡を入れ、粘液や色などから排卵のタイミングを予測し、ベストタイミングをさぐります。
この時点で農家はお肉なるまでの姿を想定して精子を選びます。
ここからが牛肉への道へのスタートなのです!!

(余談ですが妻はペーパー人工授精師&受精卵移植師なのでこういう時はここぞとばかりに口出ししてきます(笑))

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肛門から手を入れ、子宮の入り口付近を直腸壁越しに手で固定し、残った手でストローに入った精子(受精卵)を注入します。
時間にして2~3分。
授精していない時は21日後に再び発情が来ます。
発情が来ないようだと授精後30日日と50日に妊娠鑑定を獣医さんにしていただきます。

もし、発情を見逃してしまうと21日間は無駄なコストがかかります。おまけに発情を見逃してしまった牛ほど、次の発情もわかりにくくなってしまいます。。。
そんな牛が10頭もいたら何十万円ものロスです。
それは長期的に見ればスーパーなどのお肉の値段にも当然反映されてきます。
こうした地味なコストカットは本当に大切なのです。
(つづく)


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。