牛舎の床が滑っちゃう。

牛舎の床はほぼ全てがコンクリートです。
そしてそのコンクリートの上にオガクズやワラ、ゴムマット、砂などいろいろな副資材を使い、牛にとって快適な環境を作っていきます。

このコンクリートですが、打ってもらったあとの仕上げ方が大きく2種類に分かれます。
一つが金ゴテ仕上げ。
よく左官屋さんが使っているコテでコンクリートの表面をなめらかに均す方法です。
もう一つがホウキ掃き仕上げ。
ホウキやブラシなどでうっすらと筋状の目をつけることでザラザラした表面になります。

我が家では餌箱は汚れが残りにくいよう金ゴテ仕上げ、通路は滑りにくいようにホウキ掃き仕上げにしています。

しかし、牛のいる環境は毎日機械で除糞します。

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毎日毎日除糞することでザラザラしたホウキ掃きの目は削られてツルツルになっていきます。
そうなると牛にとってものすごいストレスになります。
その為、除糞後はおが屑などを入れて牛が滑らないように気をつけます。

肉牛ではあまり問題になっていませんが、酪農のフリーストール(牛舎の構造)ではコンクリートの床の上を歩くことが多く「牛が滑る」というのは大きな問題になっています。
股を裂いて廃用ということもありますし、そこまで行かなくても蹄の横滑りによる白帯病という蹄病につながります。
牛は体の構造上、真横に体が動く(滑る)ことは苦手です。

そこでフリーストールでは床に溝をつけます。(通路にゴムマットを使う場合もあります。)
色々な溝がありますが、「幅1.8cm、角90度、深さ1.2cm、溝と溝の間隔は芯芯で8cm」といったの溝を牛の進行方向に合わせて施工するのが牛にとって最も望ましく安全な床面だそうです。
(コンクリートが乾く前しか施工できませんが、これからコンクリート打とうと思われる方は「COW HAPPY」から専用の溝切りが購入できます。)
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(写真はCOWHAPPY社HPより)

また、こちらではコンクリート床面の溝切りの再加工もされています。

このように酪農の現場では牛舎の横滑り対策は進んでいるのですが、和牛ではそこまで意識して牛舎の建設をされているところは少ないのが現状です。(うちもです。)
牛のいる牛床を金ゴテで仕上げている事例もたまに見かけます。
そういう牛舎の牛は神経質です。

和牛の場合はおが屑をしっかり床に敷くため基本的には横滑りはないのですが、今はバイオマスなどの需要でおが屑は年年品薄になっています。
コンクリート施工時であれば大きなコストの差はないですし、溝切りの再加工の技術も出てきています。
今後和牛牛舎でも溝切りの導入を考えていく必要があるのではと思いました。

こちらは先日削蹄で伺った和牛繁殖農家さんの床。
溝のエッジがなくなってきてはいますが、おが屑をしっかり敷いているので横滑りは何の問題もありません。
こういう考え方をする繁殖農家さんもいるんだなと感動しました。
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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。