視察は依頼する以上、お互い真剣にいこう。

先日、ひさしぶりに新規就農についての視察がありました。
牛飼い始めて13年。
「今更新規就農の話もな。。。」との思いもありましたが、先方の熱い思いに触発されて視察を受けました。
そしたら、3時間以上お互いしゃべりっぱなし。。。

実は僕は視察に来られてもあんまり喋りません。
聞かれた事にボソボソ答えるくらいで無愛想。
妻が対応することがほとんどです。
でも、相手が本気で来られると話は止まらないですね。
牛飼いを始めた動機から心の持ち方、月別の損益計算書からの経営改善、リアルタイムで空胎期間の見える繁殖ボードまで色々幅広く楽しく喋らせていただきました。
いや~喋ったなぁ。。。

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この方、視察前には電話でのアポはもちろんのこと手書きの手紙まで送ってきてくれました。
その中には①何故うちに視察に来るのか②なにが知りたいのかがしっかりと書かれていました。
ブログも読み込んでくださっていたので話も早い。
視察後はお礼状まで!
そのお礼状の中にも①会話の中で参考になったこと②今後それをどう活かそうと思っているかといったことがしっかり書かれており、僕は「この人本気や。。。」とひさしぶりに感動しました。
視察でも勉強会でも、何を聞くかではなくどういう姿勢で聴くかなのだと改めて思ったのです。

20年前、僕が大学時代に所属していた肉牛研究会というサークルではバス研修旅行というイベントがありました。
北海道の農家さんを1泊2日で見学する企画です。

いろいろな農家さんを見せていただくのですが、みんな学生でまだまだ意識が低いから視察も受け身なんです。
ほとんどが農家さんの話をただ聞くだけ、質問も特になし。
質問しても「頭数は何頭ですか?」「去勢は何ヶ月なんですか?」「離乳は何ヶ月ですか?」とか、お決まりの無難な質問で終わっちゃうんですよね。
本当に自分が知りたくてアポを取って伺った農家さんではないから、無難な質問で時間を潰すだけ。

また、農家さんというのは学生が来てくれるとご好意で自分から色々と話してくれるんです。
そしてそれに慣れちゃうと情報を提供してくれるのが当たり前なっちゃって視察自体が受け身になります。

そんな中、大樹町の半田ファームに視察に行きました。
半田ファームの半田さんは肉牛研究会のOBで、日本を代表するナチュラルチーズの生産者でもあります。
僕は今でも半田チーズの大ファン。
当時の僕もチーズが大好きだったので、どんな話が聞けるんだろうとすごく楽しみにしていました。

すると、半田さんは何にもしゃべらなかったんですよ。
ただ一言「じゃあ、何が聞きたいですか?」って。
そしたら、誰も答えられなかったんです。。。

みんな何か聞きたくって視察に行くわけじゃなく、そこに行ったら何か教えてもらえるかもしれない、何か見れるかもしれない、そんなもんだったからです。
あの沈黙は今でも忘れられません。

僕が牛飼いを始めるの研修中、めっちゃくちゃメモ魔でした。
教えていただいたこと、聞いたこととにかくメモメモメモ。
メモ帳は20冊からになります。
しかし、就農して使えた情報はほとんどありませんでした。
それは僕が「ただ書いていた」というだけでしかなかったからです。
自分が本当に悩んで求めたことしか自分のものにならないと僕は思うのです。

友達だったら目的なんていらないです。
ただ来て話せればいい。
来てくれるだけで嬉しい。

だけど、視察は依頼する以上お互い真剣でなきゃいけないと思う。
そうじゃなきゃ来る意味ないし、来なくていい。

なんか、ハードル上げた気もするけど、久々にすごく刺激を受けた視察でした。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。