リアルな付き合いを、インターネットを通してする

今回の子牛市でも、たくさんの方とお話をさせていただきました。
牛飼いを始めた頃は名前を覚えてくれる人のほうが圧倒的に少なく、「○○のところの研修生」そんな風に呼ばれることも多かった。

だけどこの地域で13年間牛飼いや削蹄をしていく中で、たくさんの方から「一馬くん、一馬くん」と可愛がっていただけるようになった。
気が付けば「一馬さん」なんて年下の牛飼いの子もたくさん出てきている。

何をしてきたわけでもなくって、ただここで牛飼いや削蹄をさせていただいているだけ。
でもそれが大切で、信用や繋がりにもなる。
このリアルな付き合いはこの地で牛飼いをしている以上、一生続くもの。
始めた頃はそれが煩わしいと思ったけれど、今はそれが結構楽しみになっている。

その一方で僕の中でインターネットを通したつながりも年々深くなってきている。
僕がブログを始めたのが2006年。
インターネットの普及は進んでいたけれど、まだまだ検索してもなんの情報も拾えないそんな時分。
HPやブログをしている牛飼いなんて数える程しかいなかった。
ブログを書くなんてことは変わり者扱いだった。

だけど、今やスマートフォンの普及で24時間インターネット環境にいるのが当たり前の状況だ。

インターネットで情報を発信続けるということは、僕が13年ただ牛を飼ってきたというのと同じくらいのつながりを生み出すと思っている。
それはインターネットが日常になってきたから。
今後はその傾向はさらに加速していくと思う。

「ネットなんて所詮リアルな付き合いじゃない!」が、「リアルな付き合いを、ネットを通してする」ようになってきたのだ。
ここ数年でガラリと変わった。
これは僕にとってかなりショッキングな変化だった。

最初に書いたような地元でのつながりは、他には変わりのない大切な関係性だと思う。
ただ、ブログやSNSを通したつながりもものすごい可能性を秘めていると思う。

100年前には自分の村でのつながりがほとんどだった。
道路が整備され車が普及し、電車飛行機インフラの整備で日本中の人との関わりを簡単に持つことができるようになった。
インターネットが当たり前となった現代ではさらに簡単に距離を縮めることができる。

だから、「インターネットは所詮リアルじゃない」ではもったいなさすぎる。
車があるのに車に乗らないようなもんだ。
「インターネットでリアルにつながる」
これがもはや標準装備だと思うんだよね。

今回の牛市では、ずっとネット上で交流を持っていた友人知人と会うことができた。

宮崎県の佐藤獣医師。
IMG_0674
Twitterを始めた時からのお付き合いで、その後Facebookであらためてつながることに。
この度、うちの牛を買っていただいた。
我が家で一番育種価の高い牛の子で、兵庫県の種雄牛候補として種付けをした子牛。
そういった話やデーターなんかもFacebookでやりとりできるし、そもそも牛を導入するとかそんな話の前にもっと以前からお互い知っているし、だから単なる営業や情報交換じゃないんだよね。
浅い深いはあれども、関係性がベースなわけです。
だから僕も上手を言わないし、自信のある牛はしっかり伝えられる。
例えば佐藤さんのところに嫁いだ子牛は受精卵産子で、僕は本牛の産子を保留するのでその牛の成績なんかも含めこれからもお互い情報交換もしていきましょう。なんて話になる。
こういうのって良いなって僕は思うわけです。
そしてやっぱり嬉しいんですよね。

東京宝山の荻澤さんと岩手県の牛飼い中屋敷さんも市場にこられ、その後牛舎でいっぱい話をさせていただきました。
IMG_0737
(左から僕、中屋敷さん、荻澤さん」)
荻澤さんは肉と牛がとにかく好きな人。
最初は肉の世界に入った方なんですが、どんどんこの世界にはまって牛の世界まで追求してきた牛&牛肉オタクです。((株)東京宝山の代表取締役です。)
その突き詰めっぷりが気持ちいいくらい真っ直ぐで、僕はずっと荻澤さんのファンでした。
Facebookで意気投合して、いつかお会いしたいねって言いながらなかなか何年も機会がなかったんだけれど、この度お会いすることができました。
その際に宮城県で新規で牛飼いされた中屋敷さんが但馬市場に牛を買いに来たいということでご一緒されたのですが、中屋敷さんとも意気投合。
タイトなスケジュールの中、暗くなるまでしゃべりたいこと喋らせていただきました。
全然喋り足りないけど、「また会えるしいいかな」なんて感じで別れました。
こんなふうにリアルに面白い時間を過ごせます。
そのつながりから新しいつながりも生まれます。
これは計算じゃない。
だから自然体であって、すぐ繋がれるわけです。

牛市の翌日はインターネット上では10年以上付き合いのある北海道で和牛繁殖&大規模農家のmichiさんが商談ついでに遊びに来てくれました。
同い年で同じ大学だけど、お会いしてお話するのは初めて。
それでも10年以上お互いの近況をインターネット上で見てて、僕が鬱病の時には相談に乗ってもらったり励ましの絵本を頂いたりと、つながりのあった大切な友人。
1時間くらいしか話せなかったけど、牛飼いなのにお互い牛の話なんてせずに家庭の話とか普通の雑談から入れる。
そんな関係の友人が僕にはいっぱいいます。

なんかみんな初めてなのに全然初めてじゃなくって、昔から知っている友人知人のように自然に話ができました。
直接お会いしてなんの違和感もなく普通に話して、また会おうねと別れて、インターネット上で普通にいつもどおりつながる。
多分また会うときには普通に会うし、会いたくなったら会いにいく。そんな関係なんだろなと思う。

地元であってもFacebookやブログのおかげでつながった関係は山のようにある。

もちろんネットで繋がっている人がみんなこんな関係かといえば違う。
会いたい人とどうでもいい人もいる。

それでいいし、だからこそ繋がるべき人とは上っ面で終わらない。
ほんと面白い時代になったと思うんだよね。


The following two tabs change content below.
田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。