放牧敬産牛肉「きょうふく」ホルモン~脱骨編

きょうふくが枝肉となったら、すぐにカットとはいかない。
冷蔵庫で1週間、枝肉のまま置いてもらう。
放牧牛肉は水分の多い草を食べてるため、牛肉のしまりがない。
枝肉のまま熟成させて少しでも肉を枯らすのが狙いだ。

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僕が日本で一番大好きな京都の中勢以さんというお肉屋さんは枝肉のまま2ヶ月以上熟成する。
しかし放牧牛肉の場合、脂肪が少なく肉も薄いため長期間の熟成に耐えられないと思っている。
環境の要因を受けやすく肉が痛んでしまう。
もちろん冷蔵庫の環境や熟成の技術にもよると思うけど、今の牛で今の環境下では僕は1週間が限度だと思う。

でも幸いなことに僕の周りには熟成のプロがたくさんいる。
今後ご教授頂きながら我が家でベストのお肉の熟成というのも探っていきたいと思っている。

屠畜が終わり一旦家に帰るわけだが、夕方からもうひと仕事残っている。
ホルモンだ。
ホルモンは鮮度が大切なのでその日の夕方に持って帰り、本洗いや下処理をしてパック詰めをする。
(BSEの検査があるため屠畜後すぐには持って帰れません。)

きょうふくのタン
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レバー
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ほほ肉
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テール
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ハツ(心臓)
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アキレス
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手前からギアラ(第4胃)、ミノ(第1胃)
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センマイ(第2胃)
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大腸、小腸、ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ、コリコリなどは1日水を切ってホルモンミックスにする。
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切ったらまず食べるのも勉強勉強。
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これだけで丸1日はかかる。

以前は粗洗いのまま屠場から持って帰ってきて、ミノの皮むきから全部やっていた。
しかしこのやり方は2日徹夜で丸3日手を取られるため、今は本洗いまでお願いしている。
(粗洗いのまま持って帰ってきた時のブログは「こちら」から)

12月4日 いよいよきょうふくの脱骨の日がやってきた。
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脱骨は屠場の一室で行われる。
以前豚の屠畜場だった部屋をお肉屋さんが改装して捌き工場として使っているのだ。
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ここできょうふくは枝肉から大ブロックに分割される。
そして骨を外した肉は部位ごとに真空パックされていく。
ネック、トウガラシ、ウデ、クラシタ、リブロース、サーロイン、ヘレ、マエバラ、ナカバラ、ソトバラ、ラム、マル、内平、外平、スネ、サガリ。

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素晴らしい技術とスピードで、片刃の包丁を使って牛肉は各パーツに分かれていく。
この片刃を使うのは日本だけらしい。
海外ではナイフを使って骨から肉を剥がしていくが、日本は片刃の包丁を使い肉から骨を抜いていく。
牛肉の歴史は外国の方が長いが、この捌きを見て日本の牛肉の歴史と日本人の精神を感じるのは僕だけだろうか?

きょうふくのロース断面。
放牧とは思えないサシの入り方。
黒毛和種の、但馬牛の遺伝的な能力を感じることができる。

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枝肉として224kg。
脱骨してこれだけのブロックが取れた。
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あとは各ブロックを持って帰って整形、筋引きをした後、部位に合わせ焼肉・ステーキ・すき焼き・ブロック・シチュー・切り落としなどなど商品化していきパック詰めしていく。
ここからが僕たちの出番だ。

(つづく)


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。