牛がお肉になるまでのお話③

いよいよ子牛が生まれる話に入ります。

(子牛が生まれるまでは「牛がお肉になるまでのお話①」「牛がお肉になるまでのお話②」を参照下さい。)

人工授精し妊娠すると、約285日後に子牛の誕生です!!
子牛は生れる2か月前から急速にお腹の中で大きくなっていきます。
この時期にはしっかりとおなかの子牛の栄養も補足してあげます。
親牛の管理も当然大事で、親牛の状態が生まれてくる子牛の免疫や成長に大きく関与します。
子育ては「生まれる前から」なのです!

子牛が生まれる2~3時間前には骨盤の靭帯が緩み、尾の根元に大きなくぼみが出来ます。
また、子牛が母牛の腸を圧迫するため便が柔らかくなります。
この状態までになると、すでに陣痛が来ています。
い、いよいよです。
図6

まず最初に注意するのが子牛の足の向きです。蹄が前を向いて出てくれば一安心。
蹄の裏が上を向いているときは逆子です。すぐに助産しないと子牛のへその緒が先に切れて窒息して死んでしまう事があります

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(これは正常な向きです。)

子牛が生まれる際に一番難儀するのが頭の通過。
何度も陣痛を繰り返し、立っては座り立っては座り。。。
立ったままでは子牛はなかなか出てきません。

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この時間帯がいつも一番見ていてハラハラします。
しかし、妻のお産に3回立ち会って感じたのが焦っても仕方ないってことでした。。。
強い陣痛が来るまで待つ。
その間、子供は必死に産まれてくる準備をしているってこと。
だからよほどのことがない限り手で引っ張ったりしません。
無理な助産は親牛も子牛も傷めてしまうからです。

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頭さえ無事出れば、死産の心配はありません。
あれだけ難儀した分娩も母牛のいきみとともに一気に進みます。

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無事、生れました!!!!
母牛はすぐに子牛を舐めます。
生れたばかりの子牛はヌルヌルです。タオルで拭いたって全然取れません。
しかし、親牛のザラザラした舌で舐めると、あっという間に子牛はきれいになっていきます。

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ヌルヌルのままだと外気温に体温を奪われてしまいます。
だからこのお母さんの行為はと~っても大事なんです!!
子牛の全身を舐めることで子牛の血流がよくなり、活気づいてきます。
また、お母さん牛が持っている牛の生命線ともいえる胃袋の微生物が子牛に移行する役目もあります。

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しかし、中には生れても素知らぬ顔をする親牛や、興奮して角で子牛を突く親牛もいます。
それが原因で死んでしまうこともあります。
そんな時はすぐに人間が仲裁に入ります。

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例えば子牛に餌を振りかけて親牛に舐めさせたり、一旦親と離して親牛の代わりにタオルでぬめりをふき取ったり、その場の状況に合わせて動いていきます。
低体温の場合はお風呂に入れたり、牛の人工呼吸器なんて言うのもあります。

(つづく)


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。