僕が関わる牛は、僕が寿命を決めている。

こんばんは。
田中畜産の田中一馬です。

MRIを受けてきました。
2回目ですが、何回見てもすごい装置ですね。
僕なんかに使ってすいません。って思っちゃうくらい。
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内側の靭帯は切れていましたが、半月板や十字靭帯は無事で手術の必要はないようです。
一安心一安心。
鹿児島大学附属動物病院には牛のMRI装置があるそうです。
畜産もハイテクなんです。

医学の発達に伴い、いろんなケガや病気が治るようになってきました。
しかし、どれだけ医学が進歩しても治らないケガや病気はあります。

僕は牛飼いを始めてたくさんの牛を死なせてきました。
治らない病気に心が折れそうになったことも何度もあります。
なんとか治してやろうと、獣医師とともに様々なことを試しました。
助けられた命は多いですが、すり抜けていく命も多い。

生きているものは必ず死にます。
真理です。
それに対して干渉できることなんてどれだけあるのだろうと思います。

昔は牛が死ぬたびに申し訳なくて泣いていたこともありました。
今は泣くことはありません。
感情的になることは年々少なくなってきています。
それでも「仕方ない」と思うことはありません。

目の前で呼吸しなくなる子牛を見ると無力感に包まれます。
牛舎に行くことが怖くなることだって何度もあります。
どれだけ自分の出来ることが限られているとしても、仕方なかったなんて絶対思いません。

「だけど、結局最後は肉にするために殺すんでしょ。」という声も未だ聞きます。
確かに途中で死ぬのと出荷して屠畜するのでは経営的に大きく違ってきます。
それで生活しているので「大損だ。。。」と思う感情も否定しません。

ただ、それだけじゃない。

牛を屠畜し、その牛の寿命を決めるのは僕。
そこを濁したくないし、それに向き合うことが牛飼いだと思っています。

殺すために助けるのかと思われる方もいると思います。
殺すために助けるんです。

「おいしく食べることが牛にとって良いことだよ」とも思いません。
殺されて「おいしく食べてね」なんて思う牛はいませんから。

おいしく食べてもらいたい。
これは僕のエゴです。
牛に感謝するという気持ちも全部まとめて僕のエゴ。

僕が関わる牛は、僕が寿命を決めています。

だからそこに責任を感じるし、《自分の思いと違う場所で牛の命を落とさせたくない。》って気持ちが強い。

『そのために牛に何ができるか。』

そう有りたいと思っています。

牛が健康だってことは幸せなことだって心から思うんですよね。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。