牛は人がつくるもの

2016年元旦から神戸新聞の社会欄で【兵庫で、生きる「神戸ビーフの聖地〜美方から」】というタイトルで全10回の連載がスタートしました。

但馬牛の原産地「美方郡」で牛を飼う人たちの話です。

但馬牛ってご存知ない方も多いと思います。
神戸ビーフや松阪牛はとっても有名ですよね。
こういった銘柄牛と違い、但馬牛(たじまうし)は牛の品種なんです。
この但馬牛を素牛として神戸ビーフがつくられます。
(兵庫県で生産された但馬牛以外の牛では神戸ビーフになりません)

そんな但馬牛は兵庫県の北部にある但馬地方で、1200年以上前から但馬の風土とそこに暮らす人によって作られてきました。

『牛は人がつくるもの。』

今回の記事では美方郡の但馬牛を、牛に関わる人間を中心に書いていただきました。
ぜひ全てに目を通していただければと思います。

データで見る県内の肉牛

但馬牛はいったいどんな牛なのか。
神戸ビーフとの関連や但馬牛の歴史、頭数や農家戸数の推移に素牛としての流通先や血統など、わかりやすいデータで1枚にまとめてくださっています。
「但馬牛ってなんなの?」って方は必見ですよ!
(但馬牛のことがもっと知りたいって方は「こちら」もご参照ください。)
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変革期~牛飼いの技 未来へ~

近年の異常とも言える和牛の高騰。
街で起きているその余波と、その中で変わらず続く牛飼いの姿。
そして変わらない中でも変わり続ける牛飼いの姿。
1頭の繁殖農家から230頭の繁殖農家まで、色々な形態の農家が但馬牛を育てています。
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一頭飼い~ひとつ屋根の下 牛と暮らす~

第2回は新温泉町海上の尾崎さんのお話。
「昔はどの家でも1頭牛を飼っていた。」という話を聞いたことがあるかたもいると思います。
今は畜産が専業化され、家の横で1頭だけ牛を飼うという農家さんは本当に少なくなりました。
今後少頭飼いの畜産農家が増えることはないと思います。
それを思うたび、すごく寂しくなるのです。
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丹精~風土と人が生んだ名牛~

第3回は香美町小代区の福田さんのお話。
『但馬牛は人が作ってきたもの』
但馬牛は販売戦略として作られる銘柄牛と違い、人の営みの中で生み出されてきた牛です。
生活、愛情、プライド、いろんな思いが交差する中で、飼われ続けてきた但馬牛。
ひとりひとりの思いは強くても、思いを次世代につなぐところまで行けない歯がゆさがあります。
1200年以上の歴史を持つ但馬牛をつないでいくために、やることは色々ある。
一番は自分がしっかり牛飼いで生活をしていくこと。
そこが起点だと思うんです。
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後継ぎ~但馬牛の伝統 私が残す~

第4回は新温泉町丹土の倉田拓磨君のお話。
20代前半から80代まで半世紀以上の世代が但馬牛を通して繋がっている。
そんなところに農業の懐の深さを感じます。
いろんなことあるけれど、一つ一つ乗り越えて頑張って欲しいな。
地域性なのか、他の地域と比べても美方郡は若い子が多い気がします。
僕も頑張らなきゃね。
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新規就農~支えられて 今がある~

第5回は新規就農ということで僕を取り上げていただきました。
後継者が増えない以上、新規で入ってくる道筋をつけていかなくては産業として衰退は避けられないと思っています。
実際に「どうやったら新規で牛飼いができますか?」といった相談をたくさん受けます。
だけど、僕にはそんな方法はわからないんですよね。
わかっているのはたくさんの方が支えてくれたから牛飼いができているってこと。
まだまだ自分の経営で手一杯ですが、ゆくゆくは就農したい人を支えられる人間になりたいと思っています。
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純血主義~タブー越え 話し合いに~

第6回も引き続き田中一馬です。
だけど、これは僕の個人的な話なんかではありません。
守ると壊すで対義語のように叫ばれる美方郡閉鎖育種ですが、それぞれの意見は「何を守るか」の違いでしかなく、但馬牛を守る方法は一つではありません。
問題なのは守る壊すすら言えない環境、盲目的に固執してしまうこと。
対話は万能ではありませんが、但馬牛を守るための必要性最低限の入り口だと思うのです。
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転機~価値見つめ直し 再出発~

第7回は但馬牛の歴史について。
ここは歴史の浅い僕が弱い部分でもあります。
但馬牛の歴史、過去の栄光も僕は知らないから「日本一と評価されてきたからがんばれた」とか「それまでのやり方が否定された」とか思ったことはない。
必要なくなったからダメって言われる。
伝わっていないからダメって言われる。
ずっと続くわけがないじゃない。
そう思っちゃう。
今の高値相場だって同じ。
但馬牛やその歴史には敬意を払うけど、僕自身は但馬のプライドって言われてもピンとこないんだよね。
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最先端~「名門」復活へ技術集結~

第8回は改良の話
但馬牛は閉鎖育種で改良しているため、どうしても血液が濃くなってしまいます。
そのために但馬牛の中でも特徴ある系統で雄を作り、改良の基礎に使う動きがあります。
最近はジーンドロッピングという手法で但馬牛の系統の再構築をしている。
これは試験場といった研究機関でないと出来ないことだと思います。
ただ、当然経済性が絡んでくるから試験場と現場の温度差もある。
農家と試験場も目指すところは同じなんだけどね。

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挑戦~反骨心が突き動かした~

第9回は兵庫県最大の繁殖農家でもある上田伸也さん。
削蹄の兄弟子でもあり、僕が牛飼いを始め一番影響を受けた(受けている)全国屈指の牛飼いさんです。
挑戦し続ける背中を見ながら「お前、本気でやってんのか?」といつも言われている気がします。
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進化~地域ブランド 決めては人~

最終回である第10回は上田畜産の直営店である「牛匠上田」の取り組みと、これからの但馬牛の課題について書かれています。
牛を育てる担い手をいかに増やすか。
僕も就農した当初、「どうしてもらったら増えるだろう」っていつも考えていた。
でも、そもそも担い手は見つけるものではないと思う。
牛飼いをやりたいと思う仕事にする。
憧れるような牛飼いをしていく。
担い手づくりに「相手」なんて関係ない。
自分の在り方でしか後継者を増やしていくことは出来ないし、求められた時に支援できる自分でなければ育てることなんてできない。
だから自分が頑張らなきゃねって思うんです。
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今回、この但馬牛という非常に難しいテーマをまとめるにあたって何日にもわたり非常に濃い取材をしていただきました。
改めて神戸新聞の宮本記者さん、岡西記者さんに感謝申し上げます。

ただの新聞記事でなく、但馬牛を人という視点から捉えた貴重な資料だと思っています。
いや〜、読み応えあったな〜。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。