削蹄鎌の研ぎ方⑤

こんばんは田中畜産の田中一馬です。
今日は削蹄鎌の研ぎ方⑤、両刃の研ぎ方〜ハマグリ刃にしない〜です。

ハマグリ刃はハマグリを横から見た形のように刃面が曲線で刃先に厚みのある刃です。
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刃が強く刃こぼれが少ないというメリットの一方で、フラットな刃に比べて切る際の抵抗が大きいというデメリットがあります。
両刃の場合は特に抵抗が大きく、削蹄の際に余計な力が必要になってきます。
抵抗があることで【牛に衝撃が伝わる→牛が嫌がる→足が上手に持てない→切るのに時間がかかる→牛が嫌がる】といった悪循環にも陥ります。
また曲線のため、負面(地面に接地する面)を平坦に作りづらい。

その為、基本的に削蹄鎌は刃を曲線でなくフラットにする必要があります。
そうすることで抵抗は少なく、鎌が進むようになります。

出刃包丁と柳刃包丁みたいなものですね。
繊細な仕事をするためにはハマグリ刃は使いにくい。

当然フラットにすることで鎌の強度は落ちます。
そこは次回『刃の角度をどうするか』で少し書きたいと思います。

ハマグリ刃って鎌を研ぎ初めたばかりの方によく見られるんですよね。
これは強度を意識してハマグリ刃にしたというのではなくって、偶然の産物。
ハマグリ刃をつけるには研ぎの際、押す時と引く時で角度を変えます。
慣れない頃は動かす手がフラフラしたりブレることでフラットな刃にはならず、ハマグリ刃のような形になってしまうということです。

まっすぐに研ぐ時のポイントは4つ。

①角度を決める。
基本は一度決めた角度で、刃がつくまで研ぎ続けること。
角度が決まらないまま研いでいても、いつまでたってもフラットにはなりません。

②砥石の端から端まで使う。
砥石を全て使うことで砥石の変形を極力なくします。
砥石は研いでいくうちに真ん中が凹み、変形していきます。
凹みが深くなると、いくら腕を固定しても刃と砥石の角度が砥石の場所によって変わりフラットな面はできません。

③肘の高さを固定する
研ぎ時は肩を動かすのではなく、肘を起点として動かします。
手首を固定することも大事ですが、肘の高さを一定にすることを意識すると角度も安定します。

④早く研ぐ。
ノートの端から端まで線を引くとき、ゆっくり慎重に行くより一気に線を引いたほうがまっすぐになっていますよね。
早く動かくことでリズもに乗れブレも少なくなります。
砥石を端から端まで使うのもこれと同じ効果があります。

こうすることでフラットな刃をつけることができます。
ただ、いくら刃がフラットでも刃自体が付いていないと当然切れません。

前回お伝えした両刃の削蹄鎌を研ぐ4つのポイント。覚えておられますか?
①刃はついているか。
②ハマグリ刃になっていないか。
③刃の角度をどうするか
④刃の逃がし先を作る。

この4つのポイントは①→②→③→④と大切な順番で書いています。
もし、鎌が切れないときは振り返ってみてくださいね。

削蹄鎌の研ぎ方シリーズは【こちら】からご覧いただけます。

次回は『③刃の角度をどうするのか』です。

(続く)


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。