牛は宝物なり

こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、田中畜産の田中一馬です。

今から8年前のこと、牛を運ぶ仕事でお隣の豊岡市(旧日高町)に呼ばれたことがあります。
高齢のため牛飼いをやめられるということで、最後の牛の引き取りに僕は立ち会うこととなりました。

おじいさんは「昔は80件あった農家が今は5件にな・・・」と少し寂しそうに、何度も何度も「気をつけて運んでくれ」と僕に言っていました。
牛を積む直前にはプロのカメラマンが来られ、「牛と記念撮影をするんだ。一緒に撮ろうか。」と何故か僕まで一緒に撮ってもらうことに。。。

こういった離農する農家さんは年々増加しており、決して珍しい事ではありません。
それでもやっぱり離農って慣れない。
1軒1軒忘れられない。

僕たちが食べる牛肉は牛の命だけれど、後ろにはその牛を飼っている人がいる。

牛小屋に書かれていた「牛は宝物なり」
何十年と牛を飼ってきた牛小屋にしては比較的新しい筆跡で書かれた言葉。
あのおじいさんは、どういった気持ちでこの言葉を書いたんだろう。
面識のない農家さんでしたが、8年たった今でもずっと僕の中から消えません。

家畜って野生に比べて可哀想なイメージを持たれる方が多いですが、僕は人と関わりのある家畜が好きだし家畜と関わる人も好き。
伝えたいのは「どのお肉がおいしい」とかではなく、お肉となったそれぞれの牛やそこに関わる人なんだと思う。
牛や人との関わりを食べる人とつなぐ事
それが僕の目指す忘れられない晩御飯を作っていくんだと思うんです。

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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。