繁殖農家の初めての理想肥育~多香音出荷~

こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、田中畜産の田中一馬です。

7月21日の木曜日、3年弱肥育した「多香音」という牛を神戸市場に出荷してきました。
多香音は病弱で市場に出せなかった牛で、僕にとっては初めて理想肥育にチャレンジした牛でした。

多香音という牛

多香音は平成25年12月9日に我が家で生まれた去勢牛です。
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母親は「たかね」、母の父は名牛照長土井。
たかねに丸富土井と言う種雄牛を交配した子が、多香音です。

血統的に足長で肉牛タイプではないですが、とてもきれいな牛で僕好みの子。

幼少期に風邪をこじらせてしまい、子牛市場での販売を取りやめて自分で肥育することにしました。
129013か月齢の多香音。小さい頃からなつっこい牛でした。

中耳炎で斜頸になってしまい、ずっと顔を傾けたままの多香音。
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だけど、前期からしっかり餌を食べてくれました。
15か月齢。
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風邪をこじらせたと思えないくらい凛々しい多香音。
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ブログの削蹄シリーズによく登場するめっちゃおとなしい牛、覚えてます?
あれも全部多香音だったんです。


この牛とだったら一晩添い寝してもいいなって思える牛でした。
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初めての理想肥育

神戸ビーフや松阪牛などのブランド牛は一般的に子牛市場で8か月齢の子牛を導入し、その後2年かけて肥育をします。
これを理想肥育(長期肥育)と言います。

我が家は子牛を販売する繁殖農家なので、理想肥育をしたことはなく肉牛の出荷に立ち会うこともありません。
ただ、役目を終えた母牛(放牧敬産牛肉)や草だけで育てた但馬牛(放牧牛肉)など、自家販売用として生産した牛たちは地元の屠畜場に出荷していました。
地元の屠場で牛を割るときには、僕自身も牛の頭や皮を運んだり邪魔にならない範囲で手伝いをします。

一方、神戸での出荷は翌日(7月22日)屠畜。
牛を運んだらさようならです。

でもね、リアルな屠畜現場に立ち会わなくっても胸にくるものはある。

ずば抜けて立派な体型ではないけど、前期からしっかり食べて詰まった良い去勢牛になってくれたと思う。
頑張ったなって、機嫌よく食べてくれてありがとうって思う。
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枝肉となって対面するのは25日の月曜日。
そこで3年間牛に向き合ってきた結果が出ます。
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仕事だから「いくらで売れるのかな。。。」っていう思いもある。
勿論、多香音と言う一頭の牛に対する思いもある。
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ペットのように懐っこい牛だったから、僕にしては珍しく感情移入しているとこもある。
だけどそれ以上にどんな肉になっているのか、その気持ちの方が強い。
最後までしっかり食べ切ってくれた多香音にありがとうと言いたいな。

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これで格付けが悪ければ僕の力の無さ。
どんな結果であれ、明日。
胸を張って枝肉となった多香音に向き合ってこようと思っています。
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ありがとうね。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。