削蹄は綺麗に切るよりも早く切ることを意識しよう。

こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、ときたま削蹄師の田中一馬です。

昨日は久しぶりに良い天気でした。
但馬各地でイベントが行われていますが、僕はやっぱりツメキリです。

朝食のユデタマGOのおかげか、久々に超絶好調!!
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今日は【削蹄は綺麗に切るよりも、早く切ることを意識しよう!】っていうお話です。
いや~、早くも誤解を生みそうなタイトルですね(笑)

悪循環のループに入らない

僕らは普段、1頭15分くらいの時間をかけて削蹄をします。
(暴れる牛、カチカチの蹄、蹄病有る無しなど、色々な条件で削蹄にかかる時間は大きく変わります。)

この日は2時間半で15頭を終了。
牛を捕まえたり放したりする時間を引くと、1頭7分~8分くらい。
いつもの半分の時間です。

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こんな風に仕事を早く終わらせるのって、バタバタと慌てて仕事をやっつけているイメージがあるかもしれませんね。
しかし実は逆。
バタバタ慌てると余計に遅くなります。

バタバタと慌てる
 
 牛が落ち着かない
 
 牛が動く
 
 うまく切れない
 
 時間がかかる
 
 嫌がってますます牛が動く
 
 ますますうまく切れない。。。

単独保定は牛の足を人力で持つため、牛の状態に大きく仕事が左右されます。
パズルのピースが一つずれるだけで、次々と悪循環に陥ってしまう。。。

面白い事に、時間をかけてゆっくり切っても同じ事が起こります。

 時間をかけて切る
 
 牛が飽きて動きだす
 
 うまく切れない
 
 時間がかかる
 
 ますます牛が動く
 
 ますますうまく切れない。

せっかく時間をかけて丁寧に切ろうとしても、結果は「あれれ?」って感じですよね。
こうなってしまってから「手直しお願いします!!」って言われても、僕は正直しんどい。。。。

スピーディに仕事をする為には、悪循環のループに入らないことが大切になってきます。


スピードアップのポイントは無駄をなくすこと。

早切りは僕にとっては必須だった

僕が今の削蹄所にお世話になり、10年が経ちました。
入れていただいた当初は自己流で、プロとしてお金を頂けるものではとてもありませんでした。

兄弟子とのキャリアの差は10~20年。
レベルの差は歴然です。
しかし、当時の僕は「新規就農でお金がなくて大変だから」と、未熟でありながらも兄弟子たちと同じお金を頂いていました。
半人前が先輩方と同額のお金を頂くというのは、ものすごいプレッシャー。

1日でも早く同じ仕事ができるようにならないと申し訳ない。
同じじゃダメ、兄弟子以上に切れるようになって初めて同額のお金を頂ける資格がある。
そういった意識から、早く仕事をすることが僕にとっての課題となりました。

少しでも早く、早く、早く。。。。

そういった意識で仕事をしていくと、自分の動作にたくさんの無駄があることに気付くようになりました。

動きの無駄思考の無駄
この2つの無駄を省くことで、僕の仕事のスピードは飛躍的に上がりました。

①動きの無駄を省く

動きの無駄って、道具を置く場所・鎌の研ぎ方・体の置き方・牛のつなぎ方・牛の触れ方・道具の使い方・道具の選び方・声の使い方等々。。。。。
自分が思っている以上にたくさんあります。

例えば牛を捕まえる時に焦ってバタバタしてしまうと、牛は怖がって大人しく切らせてくれません。
落ち着いて声をかけながら牛を繋ぐことが大切。

実は落ち着いて繋ぐケースとバタバタ焦って捕まえるケースでは30秒も差がありません。
たとえ30秒のロスがあったとしても、落ち着いて捕まえた方が仕事は早く終わります。
これって今までの動きに無駄があったってこと。

自分の動きすべてに、一つ一つ無駄があると仮定し、代わりの動作を入れていく。

この「代わりの動作」一つ一つが技術なんだと僕は思っています。

これって「早く切ろう」と決めて動かないと、なかなか自分では見え無い部分です。
最初の頃は「綺麗な蹄を作ること」に気持ちが行きがちですが、「早く切る」という事を並行することで自分の動きの無駄が次々と見えてきます。

自分の動きの無駄を見つけること=技術を身に着けること

だから、無駄なことはバンバン削っていきたいですね!!

牛が思い通りに動かないから牛を怒るなんて、、、、、、、

無駄の最たるものですからね~!!!!!

②意識の無駄を省く

意識の無駄とは迷い
決断を速くしようってことです。

削蹄を始めたばかりに人に非常に多いのが「どこまで切っていいのかわからないから、血が出るギリギリまで蹄を切る」チキンレースのような削蹄です。
実際僕もそうでした。

何が正しいのか分からないから迷っちゃうんですよね。

削蹄ってどこまで切れるかではありません。
この子はどんな靴が必要なのか、判断して成型する仕事です。
そのために蹄の構造や蹄病など、専門的な知識が必須となります。

得た知識をベースに「こういう蹄を作るんだ!!」と意志を持つと、動作に迷いが無くなります。

僕は最近、鉈を使わないケースが増えました。
作る形が決まっていればどんなルートでも自信を持って進めます。
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迷いをなくすことと試行錯誤をしないことは全く別。

迷いをなくすこと=知識を身に着けること

早く切るということは結果的に精度を上げるということです。
是非是非スピードを意識して、削蹄してみて下さいね~!!!

僕が思う早切りの感覚

余裕を持ってハイペースで削蹄が進んでいる時って、牛も僕も殆ど動きません。

こんな時、如何に牛を攻略するかではなくって、牛と一緒に削蹄している気持ちになります。

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この牛との一体感、牛好きには病みつきになっちゃうくらい気持ちいいです(笑)
いつもこうとはいかないんですけどね。。。

削蹄は牛にとってはストレス。
だからこそちゃちゃっと楽しくやりたいなって思います。

人も楽、牛も楽。
そんな一体感を楽しめるのが単独保定の醍醐味だよなって思うんですよね〜。

あー、ツメキリって気持ちイイねーーーーーー!!
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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。