削蹄勉強会in山梨

9月27日から10月3日の7日間、山梨県に削蹄の勉強に行ってきました。
1週間も家を空けるなんて13年牛飼いしてきて初めてのことです。
残った妻や家族の負担を考えるとかなり迷いましたが、2年前から参加を迷っていたこと、子供が大きくなってきたことなどもあり思い切って参加することにしました。

僕の削蹄は鉈と鎌を使い、牛の保定は自分で足を持ち上げる単独保定という方法。
仕事の99%は和牛です。


(この時は両刃の鎌でしたが、今は片刃に変えたのでちょっと切り方が違います。)

一方、今回の勉強会では削蹄はグラインダーを使い、牛の保定は油圧の保定枠を使います。
削蹄は乳牛がメイン。
同じ削蹄師。
でも全く違う世界です。
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乳牛と和牛では牛の種類も飼われている環境も飼育ステージも蹄の状況も違うため、ここで学んだことをそのまま今の現場で使うわけにはいきません。
しかし、それでも牛という動物で蹄を扱う仕事である以上原理原則は同じはず。
絶対学ぶものがあるはずです。

早速帰って勉強会で学んだことをブログに書こうと思ったのですが、内容が非常に濃く多岐にわたるものであったため僕の中で未だ消化できていません。
今書くと受け売りの横流しになるので書くのはやめました。

僕が日々の削蹄を通して、自分の中で整合性がとれ、自分の技術の一部になった時に改めてご紹介させていただければと思っています。

というわけで、削蹄勉強会の1週間はこんな感じでしたというブログです。

5:30 起床
宿泊は相部屋。
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最初12畳に6人という配置を聞き「知らない人と1週間布団横並べか~!!」と、人見知りの激しい僕はここが一番不安でした。
しかし、なんだかんだとみんな同じ目的で集まった仲間。
すぐに打ち解け、毎晩飲んでは蹄の話ばかりしていました。

5:45~6:45 ランニング・風呂
前日のアルコールを抜いて朝から気合入れるためランニング&朝風呂!!
富士山と八ヶ岳をいっぺんに見られるコースは気持ち良かった!
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最高でしょ。走っていて興奮しました。
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6:50~7:20 朝食
バランスを考えられた20種類くらいのバイキングで、写真を撮るのも忘れるくらい素晴らしく美味しい!。
仕事抜きで家族を連れてきたいと思っちゃうくらい。
ちなみに僕は1週間糖質制限メニューにして痩せました。

7:30~9:30 講義
機能的削蹄の考え方、ステップ、蹄病の原因とその対策、跛行の損失、護蹄管理などなど。
僕は理系なのでこういった理屈や理論から技術につないでいくのが大好きなのです。
座学大好き。
とても勉強になりましたし、和牛の削蹄での応用も十分できると感じました。
帰ってからは家の牛でいろいろ考えて試しています。

9:30~9:45 現場に移動

10:00~17:30 削蹄
1日目と2日目は死蹄を使った削蹄です。(屠畜場から持ってきた牛の蹄を使います。)
いろんな蹄てんこ盛りで楽しい!!
こんなの現場(単独保定)だと楽しむどころではないですが。。。
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初めてのグラインダーで、えぐる・しゃくる・グラインダーがはねる。
最後まで怖々でしたが、そんな中でも楽しく切らせていただきました。
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初日の蹄。
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指導を受けてマドリング(土踏まず)やりなおし。
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自分が普段切っている切り方や完成形と全く違い、戸惑いもありました。
そのため、自分の削蹄師としてのキャリアは全て忘れて、参加者の中で一番の素人という立ち位置で受講させていただきました。

2日目は削蹄だけでなく、自分が切った蹄の解剖もしながら蹄の厚みがどのくらいか、蹄骨に対して負面がどういう角度なのかも確認しながら削蹄することができました。
蹄の構造や蹄のクッションである蹄球枕が無くなっているケース、健康な蹄の真皮の色や蹄骨の変形etc。。。
本などで知っていたことでも、実際に見て触って削ることで実感として自分の中に収めることができました。
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後肢外蹄と内蹄では蹄球枕の量が全く違っていました。
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踵の重要性を再認識。
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蹄葉。本と一緒だ!
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蹄のさやと抜くと
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健康な真皮(中央)と痛んだ真皮
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人生初ブロック
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3日目からは生きた牛で削蹄です。
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常にグラインダーを持って削蹄ができるわけではなく、5台の各枠場でそれぞれ順番があるのですが、切っていない間もぼ~っとしている暇なんてありません。
時間があれば他の人の削蹄を見る。インストラクターが他の方の手直しをしているのを見る。
切ったあとの牛の歩き方、蹄のつき方を見る。
昼飯も各自が空き時間を見つけて弁当をかきこんだらすぐ戻る。
そんなことしていたらあっという間。
写真撮ってる暇がありませんでした。。。。
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18:00~19:00 風呂
19:00~19:30 夕食

19:30~24:00 講師、受講者どうしでの意見交換(飲み会)

という削蹄漬けの毎日を過ごさせていただきました。

そしてさらに1日延長して「サッケン」という削蹄の事例発表会にも参加させていただきました。
マット、農場での事故防止マニュアル、アフターケア、蹄浴、跛行からの蹄病部位の予測、鏡を使った削蹄、アメリカでの削蹄研修報告、丸刃の新しい研ぎ方、コンクリート溝きり事業などなど。
どれもこれも面白かったんですが、キリがないのでこの辺にしときます。

どんな蹄が自分の切る牛にとってベストなのか。
それは常に考えていますし、考えるからこそ僕の削蹄も年々変化しています。
当然この削蹄勉強会がめざすゴールではなく、今までどおり学んだことを取り入れながら自分のお客さんにあった蹄を模索し続けたいと思います。

今回の削蹄教室でぼくが何より良かったと感じたのは、講義はもとよりたくさんの削蹄仲間との出会いでした。
毎日毎日早朝から日が変わるまで、年間20000頭切るプロから削蹄会社の社員、牧場の削蹄担当者、獣医師、製薬メーカー、農家などなど技術レベルも様々なメンバーが「牛を良くしたい!」という思い一つで垣根なく毎日毎日削蹄の話をする。
そしてそれは1週間だけの関係でなく、その後も続いていける関係だと感じました。
そんな場を作りつづけるこの削蹄勉強会、主催者の林さんに心から感謝しています。

削蹄というのは削蹄師の数だけ言うことが違ったりします。
それは「それぞれのやり方で良い」ということではありません。
牛も変化しますし技術も変化していきます。
だから独り善がりにならず、考えつづけることだけが答えだと思うのです。

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後日、早速京都の現場にお邪魔して削蹄もさせていただきました。
まだまだ知らないことだらけです。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。