子牛を病気から守るために~親牛の鎧を剥がしてみよう!!

こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、田中畜産の田中一馬です。

この時期我が家では子牛の誕生が続いています。

初乳は子牛の命綱

生まれた子牛を病気にしないために、最も大切なものは『初乳』です。

子牛は人間と違い、胎盤を通して母牛から免疫をもらうことが出来ません。

無防備な状態で生まれてきた子牛が、免疫を獲得するために必要なのが母牛からの初乳なんです。

この初乳には3つの大切な効能があります。
①栄養源の供給
②免疫の確保
③ホルモン伝達物質の獲得

この中で大切な②免疫の確保。
これを邪魔するものがあります。

それが、、母牛についているです!!

う、うわ~

鎧とは牛の体についた糞が固まったもの。

こうなるとなかなか取れません。。。

たった10数分で母牛からの免疫が倍になる?

冬から春にかけ、牛の毛は糞が付きやすくなります。
特に繋ぎ牛舎の場合は必ずと言っていいくらい鎧が付きます。

この鎧が付いたまま分娩をすると、子牛は不衛生な状態で初乳を飲むことになります。

口から入った大腸菌は腸管に食い込み増殖します。

すると、、、

大腸菌が先に入ることで、免疫の吸収率は半分に落ちてしまうんです。

鎧は牛を守るものではなく、単なる大腸菌の棲家。
だからお産前は鎧を落としましょう!!!

「たった10数分で母牛から移行する免疫が倍になる。」

そう思ったらめちゃくちゃ割のいい仕事ですよね。

こんな状態ではなく

スカッと鎧は取っちゃいましょう!!

牛の側に立って考えるという事

僕が就農するまで研修していた牧場では、お産の直前に必ず鎧を落とし、タオルで乳房をしっかりと拭いていました。
これって免疫の吸収率が半分に下がるからやっているわけではなく、子牛に清潔な状態で初乳を飲ませたいっていう思いだけなんですよね。

様々な研究されたデータをもとに対策を練ることも大切。
一方でシンプルに牛の側に立って考えても、同じ場所には行きつくことが出来る。
それってすごく面白いなって僕は思うんです。

そんなことを言っている僕も、鎧を落とすようになったのは最近です。
「牛にとって何ができるかな。」
そんな気持ちをいつになっても忘れたくないなと思う僕でした。

粉末初乳による対策

ちなみに、、、我が家は親の初乳を飲ませる前に粉末初乳を2袋(1.5リットル)飲ませます。
これも大腸菌のアタックを受ける前に初乳を子牛に届ける対策のひとつです。

「最初に粉末初乳を飲ませると肝心の親の初乳を飲まないんじゃないか。。。」
そう思われる方もおられると思います。

しかし30㎏弱で生まれる但馬牛でも、粉末初乳を与えた数時間後には全頭親の初乳を飲んでいます。
感覚でしかありませんが、その後の活力がすごくある気がしています。

今回は②の免疫の確保について書きましたが、親の初乳の大切なポイントは③ホルモン伝達物質の獲得、粉末初乳の大切なポイントは①栄養源の供給だと思っています。
そのため粉末初乳は量がキーになるのかなと個人的には感じています。

この方法がベストかはまだわかりません。
牛飼いは常に牛を見ての正解探し。
1年間続けた時点でまた結果を報告しようと思います。
おたのしみに~。

子牛を病気から守るために、効果的に初乳を飲んでもらいたいですね。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。