リピートされる牛を作りたい~但馬家畜市場4月子牛市~

こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、田中畜産の田中一馬です。

4月12日は但馬家畜市場4月子牛市でした。

牛市タイムライン

市況の前に、まずは牛市タイムラインっす!!

①牛市の2週間前から子牛の手入れは始まります。繋いでブラシをかけることで牛はおとなしくなり、綺麗な状態で子牛を出荷することが出来ます。

②前日は牛部屋でお酒を飲むのが我が家の通例。コップ2~3杯なんだけどね。

③朝は必ず娘が見送りに来てくれます。
もう1年以上、一度も寝過ごしたことがないって凄いよね!!

④これも毎回。父がわざわざおにぎりを握ってきてくれます。
牛の積み込みにも来てくれます。感謝。

⑤そして牛をトラックから降ろし、

⑥体重測定を経て、セリ場に入っていきます。


以上っす!!!

スイマセン。。。
出荷に追われてこれ以上ツイートできませんでした。

市況です

では市況です。

雌 87頭 最高1,088,640円 最低467,640円 平均812,632円 前年同期比63,772円高 先月比10,162円高

去 141頭 最高1,019,520円 最低427,680円 平均826,751円 前年同期比885円高 先月比6,830円安

市場平均は先月とほぼ変わらず。
4月は雌が安くなる傾向があるのですが、むしろ先月より高値で推移していました。

その大きな理由が、上場頭数の少なさです。

現在日本の和牛子牛は圧倒的な供給不足によって高値が続いています。

今回の子牛市は228頭と、多い月の約半分。。。
牛のばらつきも大きく「ただ頭数が少なくて高値に動いただけ」と言ってもいい市場でした。

その中でも発育と掛け合わせが両方そろう牛はやっぱり安定して高い。
一方で、発育が悪い牛や、発育が良くても2代祖3代祖の古い牛は顕著に価格が下がる傾向がありました。

価格差は出てきましたが、未だ全ての牛が高い状況です。

ただね、今高値で売れている牛が3年後も高いかと言えばまた別の話。
過去の栄光が通用するほど、今の畜産はゆっくりと進んでいない。

僕たちは高値で売れた牛が良い牛って思いがちです。
でも本来は、買ってくれたお客さんが儲けてこそ良い牛なんだと思う。
今までは独りよがりな子牛生産でも高値で売ることができた。
だけど、もうとっくにそんな時代は過ぎている。

自分がどんな牛を生産していくのか、今がその分岐点だなと感じています。

親牛を育成し、種をつけ、生まれて、販売するまで2年以上もの時間がかかる子牛生産。
肥育農家に求められる牛と、これからの改良を進める上で必要になる牛。
逆算してみると、今から動いていないと変化に対応できないということがわかります。
もっと言えば、変化し続けないと変化には対応できない。

自分の中の『良い牛の定義』をシビアに作っていかないと今後行き詰ってしまうって、実は結構焦っています(笑)

「いい牛を作っていれば大丈夫」

呪文のように言われるこの言葉も、いい牛の定義がずれていては何の意味もないですよね。

リピートされる牛を作りたい

我が家からは去勢5頭メス2頭の7頭を出荷でした。

その中の1頭、ふくえ2の1の子が三重県に行きました。

実は僕、この子のお姉さん牛のお肉を年末に食べたんです。
49ヶ月齢の特産松阪牛っす。

飼っている時から「すごく良くなっているよ〜。」とおっしゃっていただいていて、「お肉になった時には買わせてください!!」とお願いしていました。
こういう関係性って嬉しいよね。

今回その妹牛を出荷したところ、同じ農家さんが100万円近い値で購入してくれました。

「前の子がすごく良かったから」って。

「ふくえ2の1」の子

同じように「てるとよ」の子も県内の肥育農家さんがリピートしてくれました。
この子の兄弟もその農家さんで結果を出しています。

一方でBMS12番を出した「ふるさと2」の兄弟も今回出荷しましたが、発育が悪くリピートいただくことはありませんでした。
当然です。
いくら過去にいい成績が出ていても、目の前の牛が悪ければダメ。

リピートいただく牛と言うのは、以前買っていただいた牛が良かったことの表れだと思っています。
その上で目の前の牛が納得いただいているという事なんだと思う。

今が悪ければ当然ダメだし、今だけ良いやといった考えでもダメ。

子牛には在庫と言う概念がありません。
市場に出せば必ず売れます。
そんな環境だからこそ、リピートと言う概念が凄く大切になる。

現状での良い牛はみんなが見ています。
そのシビアな牛の取り合いの中で、「絶対にこの子は落とす!!」って思ってもらえるような、次につながる子牛生産を重ねていきたいなって思うんです。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。