血が出るまで砥げ

久しぶりにパソコンの前に座り、インターネットをしましたが、久しぶりなのでなんか落ち着かないというか、集中できないですね。。。

僕はと言えば、6月初旬に膝の靭帯を切ってから削蹄業を休業していました。
痛みはまだありますが、お医者さんからのOKをいただき、9月からバリバリに現役復帰しています。

また、その他もろもろ水面下では動いていますが、そこら辺もおいおいブログにも書いていければと思います。

今日は削蹄のお話。

僕がしている削蹄方法は単独保定と言って、枠場を使わず人間が牛の脚を持ち、主に鉈と鎌を使って牛の蹄を整えていくやり方です。
ここで大事なのが兎にも角にも牛の保定。(牛が動かないように繋ぐ技術、足を持つ技術)
それに加えて大事な要因が道具の切れ味なんです。
これは鍛冶屋さんの時点でかなり左右されるのですが、砥ぎ方によっても切れ味は全く変わってきます。

蹄の切り方に合わせた砥ぎ方があり、兄弟弟子間であっても各々砥ぎ方は若干異なります。
昔から「女房貸しても砥石は貸すな(←すごい言葉ですね・・・)」というくらい、他人の砥石は合いませんし、砥石を貸すと狂います。

一般的には削蹄鎌は片刃なのですが、僕は削蹄の際に両刃の鎌を使います。
砥石は#1000の中仕上げ用。
#の数字が上がるほどキメの細かい刃物になりますが、削蹄で使う時は小石などが噛んでいる場合もあり、砥ぐ時間と切れ味のバランスを取ると#1000は良い砥石です。

#1000は素早く砥げて刃こぼれも少なく、現場よりの砥石だと思います。
その他に粗砥石#220も使います。

この刃物を研ぐという作業は一見簡単なようで奥が深いのです。
削蹄を始めた当初は、1つの鎌を砥ぐのに3時間も4時間もかかって、それでも切れないものでした。

つるつるの砥石であっても6時間も7時間も砥いでいると、指が擦れて血が出てきます。
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血が出るまで砥いで砥いで、やっと研いだ鎌を現場で使ってみると蹄が切れず、また考えて1から砥ぎ直す。
この繰り返しをひたすらする事で自分なりの鎌になってくるのです。
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(利き手があるので表と裏で仕上がりが違います。)

今回久しぶりに現場復帰という事もあって、砥石を新調し、今までの鎌を全て1から砥ぎ直しました。
指から滲む血を見て、何だかすごく懐かしい気持ちになりました。

写真は新しい粗砥石と使い込んだ粗砥(#220)。
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横から見ると・・
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こちらは松阪で見せていただいた両刃の削蹄鎌。
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全然砥ぎ方が違います!

僕だったらこの鎌では削蹄出来ないな~。
色んな砥ぎ方があって面白いです。

「血が出るまで砥げ」

削蹄師としてはまだまだですが、これも一つの道だと感じています。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。