マニュアルで農場の事故を防止しよう

こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、ときどき削蹄師の田中一馬です!!


怪我しました。。。

って言っても軽傷なんですけどね。。。

怪我は職人の恥と言われる中で、今回感じたことを恥を忍んでお伝えします。

一瞬の油断が命取りにつながる。

昨日は種雄牛の削蹄でした。
畜産における雄牛は99%が去勢されます。
肉質が硬くなるということもありますが、何より危険だから。
雄牛は別格です。

頭も良く、力も別次元。
同じ牛とは思えない存在が種雄牛。

軽く遊んでいてもこの迫力です。。。

ツメキリの時は気を張っていたのですが、終わって完全に油断していました。
忘れ物を取りに牛部屋に入り、振り向いた瞬間、角が顎に入って意識が飛んでいた。
たった数秒。
気がつくと角で柵に挟まれていました。

ガチガチにに鼻保定していた状態でやられました。。。

あとから自分の身体を見ると、顎に二発、喉、胸、背中、頭、肘、足に出血と打撲痕。
顎の一撃以外は記憶が飛んで覚えていません。
柵の外に出て必死で歩こうとしましたが、脳がゆられて歩けない。
一歩間違えれば再起不能になる可能性もあった。
本当に危なかった。。。

結果的には脳震盪とむち打ち、打撲だけで済みました。
CTも異常なし。
五体満足です。

牛って本当に怖いです。
それを忘れてはいけない。

最近は除角された牛ばかり触っていたため、間合いの感覚もズレていたとは思う。
でも雰囲気も含め、距離感を感じれない時は現場にいるべきではない。
知った気になってたなって反省した。

「気をつけよう」って曖昧なんです。

今回の事故は完全に油断した僕に過失があります。
回避できる怪我でした。

「次からは気をつけます。」

そう言いながらこうも思った。

「次があって良かったな」って。。。

畜産の現場ではたくさんの事故があります。
僕も膝の靭帯を2回切ったり、鼻の骨折って曲がったり、指を鎌で飛ばしたり。。。
こういったことって普通にあります。
そしてその度に「次からは気をつけよう」って思うんです。


でもね、次があるとは限らない。
たった1回の事故で全てを失う事もある。

農場での事故のほとんどがたまたま助かった事例で、そのほとんどが「良かったね」で終わる気がしてます。

確かに感覚って大事です。
牛とは会話が出来ないからこそ、読み取るってことが重要になる。

ただ、感覚だからこそ「気をつけようね」って曖昧なんです。

僕は削蹄を通していろんな牛を触ってきました。
牛に対する感覚は普通の牛飼い以上にあると思っています。
それでもこういったことがある。

何が危険なのかは体験しないとわかりません。
でも、体験しなくても危険を避ける手段はあると思う。

その一つがマニュアルです。

マニュアルで危険を防止しよう

感覚を養う前に大きな指標となるのがマニュアル。

ハインリッヒの法則って聞いたことのある方も多いと思います。
1:29:300の法則ともいい、1件の重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するいうものです。

「こんなことくらい知っとけよ!」と言った軽微なミス。
これが300の異常です。
このヒヤリ・ハットをいかになくすかが、大きな事故を防ぐことにつながる。

怪我をしょっちゅうしている僕が言うのは説得力がないですが、29の軽微な事故を経験しているからこそ、思うところは強くあります。

この写真は以前静岡県の朝霧メイプルファームさんからお借りしたものです。

図11

図14

メイプルファームでは社員の事故をなくすための研修が有り、さらにそれを見える化するためにこのようなテキストを作っておられます。
そしてそれを毎月のミーティングで確認されるそうです。

誰もがいきなり牛の雰囲気を読むなんてことは出来ません。
しかし、忘れがちな軽微なミスは減らすことが出来ます。

事故というのは各農場での特別な事例、個人の失態として捉えられがち。
「気を付けんかい!!」で終わってしまうもの。
しかしそうではなく、誰もが同じ状況になり得るのです。
だからこそこういった危険防止マニュアルを共有することは本当に大切なことだと思うんです。

牛の降ろし方ひとつでも、気をつけるべきポイントはたくさんあります。

僕は非農家出身です。
牛飼いを始めるまでは牛のことなんてほとんど知らなかった。
削蹄で牛に蹴られて突かれて挟まれて倒されて、牛との距離感を学んできました。

でも、みんながそうあるべきかと言われればそうは思わない。

農業高校や農業大学校など教育機関でこそ、まずは危険防止マニュアルを作るべきだと思う。
結果的にそれは牛を学ぶことにもつながるしね。
その上で経験はたくさん積めばいい。

牛の危険防止マニュアル。
ちょっとずつ時間をかけて僕も作ろうと思っています。
出来た段階で、少しずつブログに書いていきますね!!

そして最後に、、、、

その上で、、、

この写真を見て僕が思ったことがあります。

それは、、、

それは、、、

それは、、、

生まれ持った性格は、なかなか治んないっす!!!

35年前の自分の写真を見て、思ったことは以上です。

だからこそ、感覚を補うマニュアルがいるんだけどね。


The following two tabs change content below.
田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。