かわいさ

子どもという者はほんとうに可愛くて、犬っころであっても猫っころであっても大抵は可愛さで許せてしまうものです。

何が可愛いかというと、僕は『手・足』だと思うんですね~。
子犬も子猫も小さい頃は短足でむくっとしていてかわいいですよね。
我が家の3番目も生まれて半年を過ぎました。
この使っていない(鍛えていない)まっさらな状態の腕や手足のむっちむち感は、まさに職人の手の対極。
これは極致だと思います。
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実は生まれたばかりの子牛の蹄もプニプニしています。
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牛の蹄は水分を含むと柔らかくなります。
羊水に浸かっていた子牛の蹄は当然柔らかいのですが、それに加えて負面(地面につく面)がもっこりと盛れています。
このもっこりが消しゴムのように微妙に柔らかい。
柔らかいと言っても子牛が立てば凹む感じではなく、もっこりのまま。
ただでさえ生まれたてで足フラフラなのに、負面が盛っているので子牛も立つのが必死。

「ああ、最初から立つのに適した蹄じゃないと、不便じゃないか!敵にやられちゃうよ!」と、つい思ってしまいます。
でも赤ちゃんってそういうものと言うか、そういう矛盾点や不完全さがかわいいのではと僕は思うのです。

そんな子牛も生後1週間もすれば、地面との摩擦で負面はこんなふうに平らになってきます。
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負面が平らであることは体重を支えていく上で基本中の基本なので良いことなんですが。
なんだか残念なような嬉しいような。。。

ちなみに蹄は前だけではなく下にも伸びるので、飼われている環境が蹄の摩耗しにくいところ(深いおがくずの上など)だと、再び負面は盛ってきます。
それは見ていて痛々しい。。
削蹄してください。

生れたばかりのこの無防備なまでの蹄は、子ども特有の『可愛さ』と思ってしまうのは、牛飼いだからなのか、僕が変わっているからなのか。
いずれにせよかわいいと思う気持ちは、大切に大切にしていきたいと思います。


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。