進化なのか?

先日分娩した母牛が、子牛を守ろうと、咲(娘)を見て明らかに威嚇しながら突進してきた。

こんな牛は最近見くなった。

12年前、僕がまだ研修生だった頃、こんな牛は『たくさん』いた。
・普段おとなしいのにお産になると気が狂ったかのように目の色変えて襲ってくる牛。
・飼い主にはないんともないのに他人が後ろを通ると蹴りまわる牛。
・発情すると四六時中鳴き叫ぶ牛。などなど

たかだか十数年。
がらりと牛が変わった。
姿かたちもずいぶん変わった気がする。

例えば育種価というものがある。
これは牛の偏差値のようなもので、脂肪交雑(サシ)や枝肉重量などの項目がある。
当然育種価は偏差値なので、絶対値ではなく、あくまで現在分かっている範囲での相対値なんだけど。
それでもこの育種価の効果もあって脂肪交雑の平均値は上がってきた。
意図的な淘汰選抜によってできた、まさに狙い通りの結果といえる。

その一方で意図しない所での淘汰選抜も起こっている。はず。なんだと思う。
上記はその1例。
性格も遺伝する。
強さも弱さも遺伝する。
経済動物である以上、市場に合わせた牛を作ることは正道。
しかし、みんなが同じ方向をむく事で、たった十数年で意図しない所でも牛が変わる。

それが良い事なのか悪いことなのか。
僕の酔っ払った頭では判断できないけど、無関係を装っていられなく時が来るだろうなとは思う。

どこにむかいたいのか。
ちっちゃな島国のちっちゃな牛群で、猛回転の選抜淘汰で生まれる改良の盲点。

牛をしっかり見ていくしかないんだろな。

分かった気にならず。見逃さず。

d0099005_20224716


The following two tabs change content below.
田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。