単独保定の削蹄はきっと30年後にはなくなっていると思う。

こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、時々削蹄師の田中一馬です。

明日は2ヵ月半ぶりの削蹄業の再開です。

家の牛は少し切っていましたが、さすがにちょっと緊張します。

削蹄で使う筋肉も明らかに落ちている中で、感覚を頼りに蹄を切っても感覚通りには切れません。
経験に基づく理論があるから蹄を切ることができる。

それでもね、やっぱり僕の削蹄はフィジカルに依存しているんだなって感じています。

埼玉の吉田さんがツイートしてたけど、フィジカルに依存している以上は肉体的や年齢的な限界はあっという間にやってくる。
枠場保定が今の削蹄の主流であることも納得せざるを得ない。

でも、人が牛の足を持ち上げる単独保定の良さっていうのも間違いなくあるんだよね。

力に任せたがんじがらめな保定は牛を痛めてしまいます。
人力による単独保定は牛を痛めるところまで保定ができない。
重度の蹄病の場合は別として、最も牛に負担の少ない削蹄方法が単独保定だと思うんです。

牛の意思を感じて牛をコントロールする単独保定。
やればやるほど牛飼いだけでは絶対に見えない牛の姿がわかる。
それが面白いところでもある。

時代遅れといわれても僕はこの方法が好き。
職人としての寿命は短くても、今ここでしか得られないものがあると思っている。

きっと30年もすればこの方法で削蹄する人間はいなくなるだろう。
僕の職人としての寿命も、どんなに長くてもあと10年。

次に自分の進む道やあり方を考えつつも、今はこのツメキリの世界にどっぷりつかりたいんだよね。
まだまだ知りたいことがたくさんあるから。

そんなことを鎌型蹄刀を研ぎながら考えていました。


さあ、気合い入れてツメキリしてきます!!


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田中 一馬
1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。